銀行の財務報告を読む。(その7)
昨日はソーシャルゲーム2社の納税額について書いてみました。
では、本日はメガバンク3グループについて検討してみましょう。
報道などでも時々触れられますが、メガ3グループは過去の巨額の不良債権処理やリーマンショック時の有価証券等の減損処理などにより、税務上の繰越欠損額を計上しており、法人税を納付しておりません。
どのくらいあるのか、各行の有価証券報告書を基に推計してみました。
有報の「税効果関係」の繰延税金資産の内訳注記を参照し、「税務上の繰越欠損金」を法定実効税率40%で割り戻すと、各行の繰越欠損金が推計できます。
下記に4年分まとめてみました。
なお、メガ各行は持株会社方式で多数の連結会社を保有しており、連結全体では比較も困難であるため、銀行単体のみを抽出しております。
このように、各行差があるものの、みずほは二行で約5,000億円弱、三井住友は約4,000億円、とーみつ約600億円の繰越欠損金がありますね。
平成23年度の決算内容いかんでは、三菱東京UFJ銀行は繰越欠損金が埋まるかもしれません。
なお、銀行単体の損益計算書に計上されている「法人税等」は、課税所得が無くても課税される法人住民税均等割りと思われます。
また、各行とも連結納税制度は採用していないようです。
「税金も納めないで、けしからん!」とかお怒りを買いそうですが、日本では社会の金融に係るリスク(信用リスク・市場リスクとも)が商業銀行に集中してるため、不況時には銀行の業績が悪化する傾向が強いとも聞きます。
企業の社会的責任とは何か、考えるヒントになれば幸いです。