すらすら日記。

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「一本だけ外債」投資信託のいろいろな事情について。

にっけい新聞にこんな記事が出ていたそうです。
「組み入れ銘柄は国際機関が発行する外国債券1本だけ――。地域金融機関の間で、こんな私募投資信託がじわりと売れている。」
(有料記事なので、リンクは貼りません。)


なぜ、こんな意味の無さそうなことをするのか解説いたします。
私はにっけいの有料会員に登録しておらず、記事全文は読めないので、一部、内容が被ってしまうであろうことはご容赦のほど。


なぜ1本だけの外債をわざわざ投資信託に「くるんで」販売され、それを地域金融機関が購入するのか。
理由はいくつかあります。


まず、外債投資にあたっては、資金決済、受け渡し、クーポン(利払い)の受領、為替換算、為替リスクの管理といろいろ国内債とは異なる事務フローでの作業負担がかかります。
地域金融機関は今までは主に日本国債を中心とする国内債に投資してきたため、上記のような外債の運用事務フローに不慣れなことが多いです。
そのため、外部の信託銀行にすべて委託し、自社では信託銀行が出してくれる基準価格に基づいて記帳すれば1回で終わりです。ものによっては円建てから投資し、為替ヘッジ付きの投資信託も有るため、レポによる外貨調達や通貨スワップなどによる為替ヘッジも不必要となります。


信託報酬を払って、すべてバックオフィスの事務を外注するわけですね。


もう1つの理由として、「資金利益」という段階利益の一種を「良く見せたい」という動機があるためです。
市販本である「銀行経理の実務」に記載されていますが、投資信託の解約差益はこの「資金利益」に算入されます。これは、投信の評価差額は「金利の調整である」との発想からではないかと推測されますね。
一方、投信に「くるまれて」いない「生の外債」を売却した場合、売却差益は「国債等債券売却益」に算入されます。これは、「資金利益+役務等取引利益+その他」で構成されるコア業務純益(銀行業独特の段階利益。本業の利益とされ、一般事業会社の営業利益に当たる」)に算入されないため、段階利益のかさ上げをしたい経営者には好まれません。


詳細な会計税務処理ですが、生の外債も「1本だけ」の投資信託も会計上は「その他有価証券」に経理され、評価差額は純資産直入(PLに反映されない)ですね。
また、生の外債はアモチ・アキュム(償却原価法。金利の調整)が行われますが、投信の方は償却原価法は適用されません。
生の外債は税務上は「償還有価証券」に該当しますが、投資信託は「集団投資信託」として扱われ、分配時のみ課税されます。




なお、本件ブログ記事はすべて新聞報道、市販本の記述や誰でも閲覧できる会計基準、税法に基づいており、いっさいの非公開情報を含んでおりません。
念のため、申し添えます。

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