すらすら日記。

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マイナス金利の簿記会計的なお話。

日銀の金融緩和政策により残存年限が4~5年くらいまでの国債は利回りがマイナスになっていることが報道されております。

時事ドットコム:5年債金利、過去最低の0%=マイナス金利も視野

金融政策の是非に触れますと怖いお兄さんが寄ってきますので、こちらについては控えます。
ここでお話するのは、「マイナス金利っていうと、お金を国(政府)に貸しているのに逆に金利を払うの?」という素朴な疑問に答えることに限定します。

ブルームバーグのこちらのページでは、毎日金利・利回りが公表されています。
日本国債・金利、利回り一覧 | 金利/債券情報 - Bloomberg
4年までは「利回り」がマイナスになっていますね。

これを分解して説明いたします。

クーポンは1年物では0.1%となっており、額面100万円の国債であれば、政府はその0.1%、年に1,000円の金利を払うことを約束しています。
半年に1回500円づつ利払いが行われるわけですね。

しかし、中ほどに「価格」という欄がありまして、1年ものは100.13となっています。これは、100万円の国債を購入するのに、100万1,300円出さないと購入できないということを示しています。

先ほどの例でいいますと、政府からの利払いは年1,000円で、1年後の満期に元金100万円で償還されます。
購入するのに支払った金額は100万1,300円で、受取額は100万1,000円ですから、300円の持ち出しです。*1
元金100万円を1年間運用して300円の持ち出しですから、利回りはマイナス0.03%ですね。


これがマイナス金利の正体です。
マイナス金利といいましても、銀行から直接、政府に利払いするわけではなく、購入価格と受取利息の差額が影響しているわけですね。


なお、簿記会計的には償却原価法(アモチ)という技法で、この300円は受取利息の借方(収益の減少)として処理されます。


なぜ金融機関が損失を出してまで短期の国債を購入するかといいますと、国債は為替取引など日本銀行に差し入れる担保として必要ですし、銀行自身が資金調達する際に担保としていちばん使用されるのもやはり国債であるからです。*2

短期金融市場はしんだとも言われますが、債券市場はどうなるのでしょうか。
金融政策だけではなく、日々の決済にも日本銀行は深くかかわっております。
短期金融市場や決済など、こちらをぜひお読みいただきますよう。

東京マネー・マーケット 第7版 (有斐閣選書)

東京マネー・マーケット 第7版 (有斐閣選書)

*1:源泉所得税は考慮外です。なお、銀行など金融機関は租税特別措置で源泉徴収は免除されています。

*2:担保まわりの実務はあまり詳しくありません。参考文献をお読みください。

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