すらすら日記。

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コーポレートファイナンスのおすすめ入門書について。

ファイナンスの本というと何の説明もなしに見慣れない記号を使った数式がドーンと出てきて、理屈もわからず覚えさせられるか、そもそも数式が解けなくて挫折・・ということが多いのではないかと思います。

あるいは、数式は読めたものの、現実離れした仮定が置かれていてこんなの納得できなし実務にも使えない・・とか。
特に米国流の株主資本主義?や直接金融が前提があるので、こんなの日本の実情に合わない・・となってしまうかもしれません。

今日は私がいろいろ読んだなかから、挫折しないコーポレートファイナンス入門書としておすすめできるのをいくつか。

企業価値の神秘

企業価値の神秘

宮川先生の「企業価値の神秘」です。

とかく数式を示すだけで理由の説明が少ないテキストが多いなか、割引現在価値の考えから、WACC加重平均資本コスト、CAPMの意味と計算過程を「なぜそうなるのか」というコーポレートファイナンスの思考回路を自分のなかに作れるように丁寧に順を追って説明してくれます。
抜群の面白さです。
「現実感がない」というファイナンス理論への批判に対しても、現実の市場の不完全性によってどのように理論が修正されていくのか、きちんと「理論への批判には理論で」答えております*1
アマゾンがいつも品薄なので、楽天リンクも貼っておきます。
企業価値の神秘 コーポレートファイナンス理論の思考回路 [ 宮川 壽夫 ]

コーポレートファイナンス実践講座

コーポレートファイナンス実践講座

米国のテキストを翻訳したものでは日本の実情に合わない・・という声に対してはこちらを。
銀行融資がメインで、社債や株式による調達は少ない中堅規模の企業にぴったりだと思われます。法制度や会計にも目配りしていて、実務でわからないことがあったときに辞典のようにして使えるかと思います。
巻末にファイナンスで参考になるノンフィクションや小説、映画も紹介されています。
こちらも面白いです。

道具としてのファイナンス

道具としてのファイナンス

2005年出版なので少々古めですが、エクセルの入力方法まで丁寧に解説してくれるテキスト。まさに、道具としてファイナンスの理屈を実務で使える知識として身につけたい方に。
あくまで入門レベルですが、別売りの練習問題まで含めれば実務ではこれでじゅうぶんではないでしょうか。

コーポレート・ファイナンス 第10版 上

コーポレート・ファイナンス 第10版 上

  • 作者: リチャード・A・ブリーリー,スチュワート・C・マイヤーズ,フランクリン・アレン,藤井眞理子,國枝繁樹
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
最後は米国の分厚い教科書を。
最初に紹介した宮川先生のゼミでも採用されている定番テキストです。
各巻800頁で上下巻で1600ページもありますが、数式の意味、展開から丁寧にくどいくらいに説明されております。
章末には簡単な練習問題もついていて、エクセルの入力方法も含めて学習できます。

私はまだ途中ですが、宮川先生の「企業価値の神秘」で分厚い教科書にも挑戦してほしいと紹介されていたので読み進めております。

入門編はこんなところで。
また学習が進んだら、次をご紹介します。


*1:エージェンシー理論、取引費用理論、所有権理論など。

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