企業金融の仕組みをやさしく学べるテキスト。
本日のお題はこちら。
- 作者: 中島真志
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2015/02/27
- メディア: Kindle版
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企業金融に関するテキストはいろいろなものが出ております。
一般に、コーポレート・ファイナンスの教科書というと、米国のテキストの翻訳か、日本人の手になる本でも直輸入もので、株式と社債で資金調達するのが前提で、馴染みがない記号を使った数式がドーンときて前提がよくわからないまま進んでいく・・という現実感がないものが多いのかもしれません。
実際に中堅以下の日本企業では、銀行借入が資金調達の大部分であり、キャッシュ・フロー経営などというものではなく、「毎月・毎日の資金繰りをどう回していくか」という問題が大きな割合を占めるのが現実であります。
その金融実務の現実と、米国流のファイナンス本はなかなか結びつかないのが現状ですね。
本書は、日本の金融実務を踏まえて、「どうして企業は事業資金を必要とするのか」というそもそものところから始まり、基本的な銀行借入の仕組みから始まって、中小企業がよく利用する信用保証制度、少人数私募債、ベンチャーキャピタルや投資事業組合の仕組みまで解説しております。
数式はほぼ登場しませんし、説明は平易で、経済学や会計学の前提知識がなくともじゅうぶんに理解できる良いテキストだと思います。
米国流のファイナンス本に挫折してしまった方でも、だいじょうぶかと。
著者の中島教授は、元日本銀行職員で決済システムの専門家です。
決済実務担当者のバイブルともいえる「決済システムのすべて」などの著者であり、最近はこちらも「アフター・ビットコイン」も上梓しておりますね。
アフター・ビットコイン―仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者―
- 作者: 中島真志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/11/10
- メディア: Kindle版
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