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すらすら日記。

すらすら☆

業務改善と抵抗する人々の心理について。

面白い記事を見かけましたので、私も便乗して少々。
megamouth.hateblo.jp

黙っていても仕事はどんどん増えていきますし状況は変化しますから、既存業務の改善と効率化を継続的にしていかないと、仕事が山積みになって詰んでしまうことになります。

偉い人( )もそれをわかっていますし、昨今、労働時間管理が厳しいので残業もやたらとするわけにはいかず、経営層からは「業務を効率化しろ!」という声がどんどん飛んでくることに。

実際には、偉い人( )は、細かい現場の業務の細部は分かりませんので、改善は最前線の中間管理職が担うことに。

現場スタッフたちは、表面では、総論としては業務改善には賛成します。
なんといっても、経営層からの直接的に改善しろって命令が来ているわけですから。

しかし、各論に入りまして・・1枚1枚の紙の資料からエクセルに作業で転記する、同じ作業を「確認のため」に重複して行っているなどの非効率を指摘し、これを改善しようとすると・・



「毎日、手作業をしているからこそ数字を把握できる。自動化したら、理解できなくなる」

「バックアップファイルを持たないと、数式が壊れたら直せなくなる」


などなど、現状の作業方法を維持するためにいろいろと言い訳を並べて抵抗してくることに。

何よりも、抵抗するスタッフがいちばん恐れているのが、

今までは心地良い思考停止の中の繁忙を極めていたのに・・
それを効率化の名の下に取り上げられてしまい、

組織から不要な人間としてはじき出されてしまうことや、
もっと考えて仕事をしなければならなくなること

ではないかと。

そして、偉い人( )は、自分自身はいい子でいたいので、業務改善はして欲しいけど、現場スタッフの心配にも配慮しろという中途半端なスタンス。
それもスタッフたちは薄々感じ取っており、抜本的なことには着手しようとしないことにも。

これでは、結局、現場の中間管理職が嫌われ役になってしまうことになりますね。


最初から、現場での業務改善は限界がありまして、経営層が覚悟を持って取り組まないと抜本的なことはできないし、間に挟まっている中間管理職だけが疲弊するという結果が繰り返されてきたようにも思われます。

さて、業務改善に取り組んでいないという組織はどこにもないでしょう。
あなたの組織では、どんなことが起きているでしょうか。


「言っていること」と「やっていること」の乖離について。

「表面で唱えているスローガン、お題目」と「実際の行動・行為」がかけ離れていれば、誰もその人のことを信用しなくなります。

営利企業においても、会社のホームページに「地域社会に貢献、お客さま第一」「人材を大切にする経営」などの美しい社是・社訓が掲げられていることが多いかと。

しかし、実際にやっていることは・・



地域に貢献、お客さま第一→顧客を錯覚させるような広告で手数料を巻き上げるような略奪商法

人材を大切にする経営→パワハラks上司跋扈・教育研修皆無で放置



などということがまかり通っていることが多く見られるかと。

永くその会社にいる人は、「世の中きれいごとだけじゃない、そんなものだ」とあきらめているかもしれません。

でも、若手はそんな社内の建て前と実態の大きな乖離を感じ取り、早々と組織に見限って辞めて行くことに。

きれいなイメージTVコマーシャルを流している隣の有名大企業も、一皮むけば人材の流出に悩んでいるかもしれません。

若手労働力の奪い合いが始まっておりますので、こんなことを続けて行けば、もう組織が立ち行かなくなります。


トップの素晴らしい理念が浸透していないと中間管理職を悪者にしたりしても、得てして、中間もトップの振舞いを真似しているだけかもしれません。

我慢が効かない若手が悪いって責任転嫁していれば、もう詰みが見えてしまいます。


さて、あなたの属する組織の言っていることとやっていることは合っているのか。

そして、合っていないなら、なにか対策を講じているのでしょうか。

それにより、組織の未来が少し見えるかもしれません。


「この仕事はあの人しかできない」という誤解と、その前に。

どこの組織でも、仕事のノウハウを自分だけで抱え込んでブラックボックス化している方はいるのではないかと思われます。

「この仕事はあの人しかできない」という評価を得て、その職位に留まり続ける。

こういう属人化が極まってしまうと、もう人事異動はできません。

ノウハウを開示しないものですから、引継もできない。

その人が、本当に世の中の変化のスピードの速さを理解して、知識や技能をアップデートしているならまだマシなのですが、たいていは10年以上前に経験だけで覚えたことにいつまでも執着し、やり方も変えようとしない。


「この仕事はあの人しかできない」ではなく、「あの人はこの仕事しかできない」というのが事実では無いかと。


ごく普通にパソコンを使って行う程度の仕事で、「あの人しかできない」というのは誤解であることが多いと思われます。

さて、問題は、誰が「この仕事しかできないんだね」という事実を告げて、組織のためにその人に退場願うという任務を果たすかです。

どこの会社でも若手が育たないなどという嘆きをしているそうですが・・

若手の育成の前に、仕事の抱え込みをしているベテランへの対処も、考えるべき時ではないでしょうか。



異なる人々と一緒に働くということは。

本日のお題はこちら。

チームのことだけ、考えた。

チームのことだけ、考えた。

伝統的な日本の大企業は、中軸となるのは男性ばかりで、その男性の中でも権限を持っているのは中高年の年齢層の人ばかり。
そのため社内の価値観の同一性が高く、多様化した社会のニーズをとらえることができずに企業業績が悪化して行く・・というようなことがよく語られております。

しかし、その男性の中にも一枚めくれば多様な価値観が内在していて、ちょっと自由にさせてあげれば面白いネタが湧いてくるのではないか・・とも感じております。

私自身も規制業種の大企業に勤める中高年男性ですが、社内では表に出していないこと、たくさん考えてますからね。

問題は、それを上手く救いあげることができない、会社の仕組みなのかもしれません。


さて、本書はグループウェアで成長したサイボウズの創業者が青野氏が書いた本です。

よくありがちな、成功したベンチャー経営者が書いた再現性のない自慢話ではありません。

働くということ、特に組織でチームを組んで働くということはどういうことなのか。

そのことを考えるうえでのヒントが満載です。


社会の均質性はとうに失われてしまっています。

なので、会社もそれぞれ異なる人々がたまたま集まっております。

人生の多くの時間をすごすその場所で、一緒に働くということをどうすれば上手くやれるのか。

その悩みをかかえる多くの方に何か得られるきっかけを提供してくれる1冊だと思います。

ご一読をおすすめいたします。


「地域銀行が本業では経費を賄えなくなってきている」という報道について。

昨日、日本銀行から金融システムレポートが公表されました。
金融システムレポート(2016年10月号) :日本銀行 Bank of Japan

これを受けまして、報道各社はレポート内容を要約して報道しておりました。
報道内容としては、NHKなどによる「銀行による不動産業向け融資が増加、これを注視する必要あり」というものと、「地域金融機関の半数が本業では利益で経費を賄えなくなっている」というものが目に付きました。

このうち、後者につきましては報道記事では説明が不足しており、金融システムレポートの内容を正しく伝えておりませんので、以下で少々、補足しようと思います。

報道されていた部分を引用しますと、こちらになります。

実際、地域金融機関を中心に、預貸金収益と役務取引等利益では経費を賄えない金融機関が増加しており、信用コストが何らかのショックで上昇した場合、コア業務純益ではカバーできずに赤字に陥りやすい状況になっている(53頁)

こちらを28年3月期決算短信から財務データを拾って検証してみました。
例として、長崎県十八銀行高知県四国銀行を取り上げております。

十八銀行 四国銀行
貸出金利 収益(+) 19261 21053
預け金利 収益(+) 95 75
役務取引収益 収益(+) 6852 6874
金利 費用(△) △ 1089 △ 1401
役務取引等費用 費用(△) △ 3373 △ 1984
預貸金等利益 - 21746 24617
経費(人件費・物件費・税金) 費用(△) 23567 24885
差額 - △ 1821 △ 268
(参考)有価証券利息配当金 収益(+) 10291 10066

日本銀行の定義によりますと、確かに預貸金利息差額+役務取引等利益では経費を賄えなくなっています。
しかし、この計算ではいちばん下の欄に記載しました100億円程度の有価証券利息配当金を無視しております。
もちろん、両方の銀行とも赤字ではありません。
十八銀行は6,575百万円、四国銀行は6,309百万円の黒字を確保していますね。

この計算は、銀行の損益計算書から一部の項目を抽出して並べただけで、何度も繰り返し報道される「金利が1%上昇すると保有する国債に●兆円の評価損失」と似て、「計算しただけ」です。

もちろん、貸出金収益は利回り低下により年々、細ってきております。

そのことは淡々と事実として指摘し、対応策を考えるべきであって、数字遊びのような警鐘にあまり意味があるとは思えないのですが・・

状況が非常に悪いことは当事者である地域金融機関もしっかり自覚しているはずなので、事実に基づいた対応策を立案していくことでしょう。

そのためには、一面的な報道により惑わさなければいいのですが・・


【追記】
なぜ金融システムレポートでは、「有価証券利息配当金を含めないで経費を賄えるか」ということを警告しているか推測してみます。
マイナス金利導入後、もはや新規の債券投資ではプラスの利回りは難しいことと、
以前より有価証券利息配当金には非上場投資信託の解約差益が相当程度、含まれておりこれは市況に大きく左右されるためではないかと。
執行部の金融政策を正面から否定するわけにはいかない制限のなか、金融システムレポートをまとめた日本銀行事務局の苦しさも読みとれるような気がします。

粉飾決算の典型的手法と監査の限界について。

東芝粉飾決算などをとりあげた「会計士は見た!」の著者、前川公認会計士の新しい本が出ておりましたので、「なぜ、監査で粉飾を見つけるのが難しいのか?」ということを少々。

事件は帳簿で起きている

事件は帳簿で起きている

利益を実際より良く見せようとする場合、収益を多く計上するか、費用を少なく計上するしかありません。

たいていの場合、不正の方法は売上の過大計上か、前倒しです。

現代の企業会計は、複式簿記という技術で処理されます。

「複式」簿記ですので、帳簿に記入する際は、二つの勘定科目を動かさなければなりません。

売上を実際より多く計上する場合、必ずもう一つ相手勘定が必要になります。

多くの場合、売掛金の架空計上か、棚卸資産の架空計上ですね。


会計監査がありますので、売掛金棚卸資産もその「実在性」の監査を受けます。

しかし、膨大な計数の売掛金棚卸資産について、監査にあたる公認会計士が実在性を全件照合することは現実には不可能であり、金額の大きい順であったり、ソフトを使用したランダム抽出をしたりした指査により監査が行われています。

その際、売掛金の相手側(取引先)に対して、実在性を郵便で確認する手続きも行われます。この「残高確認手続は第三者による証明ということで非常に証拠力が強いものですが、これすら取引先が粉飾決算に協力して嘘の回答をよこす場合もあり*1、100%実在性を確認することはできません。

また、残高確認手続を行わず、会社内で保存されている書類だけで監査する場合は、会社ぐるみで隠蔽工作を行って架空契約書・架空請求書・架空納品書などを用意されれば、見抜くことはまず不可能ですね。

棚卸資産についても、倉庫で在庫をすべて数えることも不可能で、これもサンプル抽出になりますので同様の問題があります。


一方、預金口座の残高を偽ることは非常に困難です。

預金口座については、売掛金ほど件数がありませんので、先ほどの残高確認手続は全先に行われます。

しばしば粉飾に協力する売掛の取引先とは異なり、銀行は金融機関として自らの被監査企業の債権者であることが多く、粉飾に協力する動機はありませんので、嘘の回答を返してよこすことはありません。*2


売掛金棚卸資産をごまかしても、預金残高を偽ることは難しい。

そうなると、粉飾を行っている企業の損益計算書の利益は黒字になっているように見えても、キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」はマイナスになっていることが多くなります。

稼いで利益を上げているはずなのに、本業では現金を稼げていない。

これは、辻褄が合わないわけです。*3

また、損益計算書とキャッシュ・フロー計算書の間の矛盾だけでは無く、売掛債権回転率や棚卸資産回転率など、財務指標の理屈も合わなくなります。

例えば、架空の売掛金はいつまでたっても回収されませんから、売掛債権回転率がどんどん悪化して行ったりするわけですね。


上記は架空売上計上という単純な粉飾の手口ですが、それでも会社側が本気で隠蔽しようとすれば、限られた時間と人員で監査を行っている公認会計士が見抜くことはなかなか難しいです。

公認会計士には、税務調査や犯罪捜査のような強制力もありませんので。

さらに、東芝オリンパスのような巨大企業になれば、海外にトンネル会社を作ったり、金融技術を行使して実態を見えにくくするなど複雑な粉飾テクニックが用いられることもありました。


ただ、そのような「努力」を傾けて粉飾を行うと、会社の本当の財務状態が経営者自身にもよくわからなくなり、本当に会社を立て直すための効果的な対策を行うことが難しくなります。
また、粉飾行為に社内資源を投入するため、前向きな仕事をする時間が減ってしまう。

何も、いいことはありません。


また、本書では、「会社のためだった」という粉飾発覚の際に必ず聞かされる言い訳は「業績悪化による解任を恐れる経営者の保身」に過ぎない。
そう繰り返し述べられております。

実際の社名、実際の事件をあげて解説されております。

会計の専門知識がなくても読みとおせる本であると思いますので、ぜひ。



こちらもどうぞ。
sura-taro.hatenablog.com

*1:互いに粉飾に協力し合う、架空循環取引というものもおしばしば起きています。

*2:例外的に、海外の銀行が協力して嘘の回答を出したケースもありました。

*3:金融業では当てはまらないケースもあります。例外です。

長期的な金利低下傾向が銀行収益に与えた影響と今後について。

証券アナリストジャーナル」10月号に掲載されていた植田和男教授「マイナス金利政策の採用とその効果」を興味深く読みましたので、そのうち、金利低下と銀行経営に関する部分を引用し、少々解説したいと思います。

目次だけこちらで参照できますね。
www.saa.or.jp

バブル崩壊後、1990年代後半以降、長期金利は時々の上下動はありつつも、長期的なトレンドとしては一貫して低下傾向にあります。

植田教授はこのように述べています。

債券関係の評価益をより長い期間から見ると、1990年代後半以降長期金利がならしてみれば低下を続ける中で、銀行をはじめとする債券保有主体は機動的な売買によって大きな利益を享受してきた

金利が低下した場合、固定利付債券の価格は上昇するという関係を想起してください。
国債は固定利付債であり、市場金利が低下すると銀行が従前から保有していた相対的に高い約定利率が付いている国債の価格は上昇します。

つまり、長期金利が低下するトレンドの中、銀行は黙っていてもその保有債券に含み益が溜まっていくという構図になっていたわけです。

この含み益は、貸出金利回りの低下による収益目標未達成を補ったり、貸出先の不良債権化による貸倒損失、リーマンショック時の株式や不動産向け投資商品の価格下落による減損処理などの損失の穴埋めすることに使われたりするため、その場その場で、機動的な「益出し」に使われてきました。*1

植田教授はその影響をこう述べています。

債券からの直接の利息収入を除く債券関係損益は、1997年から2015年までの期間の全国銀行の税引前利益の約20%を占めている

その後、マイナス金利政策が導入され、一時は長期金利(10年)まですべての利回りがマイナスになってしました。
マイナス金利下でも、金利低下と債券価格の上昇の関係は変わりません。
個別銀行ごとに含み益の水準に多寡はありますが、銀行セクター全体では、まだまだ国債の含み益を温存できております。
しかし、金利環境下では、含み益を実現してしまう(国債を売却してしまう)と、再投資先がなく困ってしまうことに。

植田教授は次にこう論じています。

こうした構造が今回のイールドカーブ全体のゼロからマイナス化で消滅しつつあり、金融機関収益にとっては大きな問題である

植田教授の論文は、今般の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の前に執筆されたものです。

「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」では、短期金利はマイナス0.1%~長期金利(10年)はゼロ%前後とすることでイールドカーブを「立てる」ことを目指すものです。

イールドカーブのスティープ化が起きても、最初に述べたような趨勢的な金利低下が復活するわけではありません。
銀行にとって、金利低下による収益の源泉は失われているとみてよいでしょう。

マイナス金利の深堀りはさらなる銀行収益の悪化を招くとの意見もあります。

しかし、金利の低下は一方で保有債券の価格上昇という効果ももたらします。

今後について、注視したいと思います。


*1:もちろん、従来から保有し続けていた国債の益出し売却だけでは無く、金利の上下動を予想し新たに購入した国債をタイミングをみて売却することによる収益獲得も行われたことでしょう。

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