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金利に消費税を転嫁できるのか?

金利も、あらゆる商品と同じように、
「貸したい人」と「借りたい人」の需要と供給により
その水準が決定されるはずです。
実際には中央銀行の金融政策により、金利水準は上下するのですが。

さて、消費税増税問題が世間を賑わしております。
税率引上げに反対する方のロジックとして、
立場が弱い中小企業は増税分を価格に転嫁できず、
その分だけ利益が減ってしまう・・というのをよく聞きます。

事業者は、売上金と一緒に預った消費税から、
仕入・経費で払った消費税を差し引いて納税するのが
消費税の基本的な仕組みですので、価格転嫁が完全になされれば
税率引き上げしても事業者の損益計算には影響しないはずです。
この転嫁は、原材料→加工→卸売→小売と転々と続いていきます。

しかし、問題は差し引ける「仕入に係る消費税」は、
支払いした全額ではなく、非課税売上に対応した部分は控除できない、
という仕組みが取られていることです。

非課税売上とは、金利収入、医療、土地の売却など限定列挙されており、
その範囲は狭いものの、金融業、医療機関、不動産業などの
業種は非課税売上がその大部分を占めることになります。

非課税とは、最終消費者である買い手が消費税を払わない、
というだけであって、事業者が納税を免除されるわけではありません。
上にあげた金融業などの業種が仕入税額を控除できない、ということで
転嫁の連鎖を切断され、消費税の最終負担が
事業者に付け替えられてしまうのです。

国会では、消費税率引き上げの際は診療報酬も
それに見合った分だけ上乗せされ、
医療機関の負担を増やさないように・・
などというような議論もされているようです。

では、金融機関は金利に消費税増税分を転嫁できるでしょうか?
冒頭で述べましたように、金利水準もあらゆる商品と同じように
需要と供給で決まりますが、その水準は中央銀行の金融政策に
大きく左右されます。
消費税が上がったから、金利を上乗せさせてくれ、とは
借り手に言うのは無理でしょう。

税制は「公平」が最大の目標とも聞きます。
業種により、このような不公平が放置されてもいいのでしょうか。

参考文献
税務力UPシリーズ 消費税〈平成22年度版〉
ファイナンス課税 第2版

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