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しらさぎ会(12月15日@東京)記録。その4

やっと半分です。

4.銀行の収益構造と控除対象外消費税額

銀行の収益構造につきましては、こちらの過去ログをご覧下さい。
銀行の財務報告を読む。(その1)

銀行の収益のうち、消費税の課税対象となるものは「役務取引等収益」のみです。
これ以外の、貸出金利息収入、国債等売却益、株式等売却益は消費税が「非課税」となります。
この構造により、銀行の課税売上割合は約10%前後と推測されます。

消費税の特質である前段階税額控除は、課税の累積を防止するためのものであり、非課税に対応する仕入税額は控除されず、事業者(この場合は銀行)の費用になってしまいます。

経済に中立であるはずの消費税が、銀行の利益を減少させる効果を引き起こしております。
単純化しますと、一般の事業会社では全額控除され、損益に影響しない消費税が、銀行の場合は非課税が占める分だけ(90%)が控除できずに費用化してしまうわけです。


さて、その3で論じました、銀行の付加価値であります。

これが金利にどのように含まれているか、説明いたします。
わかりやすくするために、金利水準を高くし数字を大きくします。

市場金利を7%とします。
市場金利とは、貨幣の時間的価値とも言い換えられますが、無リスク(信用リスク)がなく、満期で額面が償還される債券の金利で表すことができます。
代表的なものは、国債ですね。

銀行は、預金者から5%で預金を集めます。
市場金利は7%ですので、差の2%は預金者への決済サービスやATM網を維持することによるサービスの対価(生産要素の投入=付加価値の発生)と考えられます。ただし、明示はされません。
また、資金の借り手に対しては12%で貸出を行うとします。
市場金利7%との差は銀行の情報生産活動(生産要素の投入=付加価値の発生)及び借り手の信用リスクを評価したものの合計になります。もちろん、こちらも明示はされません。
預金者及び借り手へ提供した付加価値分が、本来、消費税を課すべき課税物件であるとも考えられます。
しかし、それは金利に折り込まれてしまうため、課税標準として換算することができません。

なお、金利のうち、信用リスクを評価して金利に折り込んだ分は単なるリスクの移転であり、付加価値を構成しているものではないと考えられます。
(信用リスクを評価する活動は付加価値を生んでいますが、リスク自体は転嫁されているだけです)

こちらの参考文献は以下の通りです。

キャッシュフロー・リスク・課税

キャッシュフロー・リスク・課税


金融取引と課税―金融革命下の租税法

金融取引と課税―金融革命下の租税法

中里教授の本は入手しにくいので、こちらでも引用されております。

ファイナンス課税 第2版

ファイナンス課税 第2版

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