企業体質という正体不明な言葉だけで終わらせない。
本日のお題はこちら。
- 作者: 小笠原啓
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/07/19
- メディア: Kindle版
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粉飾決算などの企業不祥事が起きると、しばしば次のような論評が聞こえてきます。
「悪しき企業体質の結果」
「再発防止へ企業体質の改善が急務」
「組織風土に悪しき慣習が」
などなど。
株式会社という営利企業でも、他の組織と同じく、人間が集まって作られていることに変わりはありません。
企業体質という正体不明で、曖昧な言葉で不正の原因を糾弾しても、指しているものが曖昧である以上、具体的な解決策は出てきません。
また、「社長の○○が権力欲に取り疲れたから」「不正を実行した経理部長の倫理観が欠落したから」など、個人的な事柄に原因を求めてしまうと、その悪しき個人を除いて善人に置き換えれば不正は再度、起きないとい結論にもなりかねませんが。
しかし、再度、「悪い人間」がその立場になれば、また不正が繰り返されてしまうことに。
本書は、いくつかある類書のように、記者の個人的な倫理観で東芝を糾弾する、という書きぶりにはなっておらず、淡々と、事実が書き述べられております。
東芝不正会計事件については、かなりの「事実」が明らかになったことと思われます。
では、なぜ、このような事件が起きたのか。
どうすれば、再発を防止できるのか。
そのことについては、「そういう企業体質だったから」で終わってしまうと、曖昧なままになってしまうでしょう。
東芝旧経営陣に対しては、民事上の損害賠償訴訟も起こされており、取締役の責任の有無を争う過程の過程で、東芝の組織のどこに原因があったのかが議論されるでしょう
また、企業経営を学問的に研究する学者たちがさらに上記の疑問が解明に取り組むことも。
その進捗を注目したいと思います。
その端緒としましては、こちらも。