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「正しいこと」が伝わらないもどかしい人生について。

本日のお題はこちら。

生涯投資家 (文春e-book)

生涯投資家 (文春e-book)

数々の上場企業の株式を取得して、投資家として経営者へ向けて経営改革を迫った村上ファンド代表、村上世彰氏の回想です。

村上氏、2006年にライブドアに絡んだインサイダー事件で逮捕され2011年に最高裁で有罪が確定します。

その後も沈黙を守っておりましたが・・本書は最初で最後の回想にするつもりのようですね。

通産官僚からオリックス宮内社長との出会いを経て村上ファンドを設立。

東京スタイルへの日本初となる敵対的TOBから始まって、

ホリエモンとも交錯したニッポン放送・フジテレビへの投資、

西武鉄道阪神鉄道への改革提言など。

私も同時代で見てきた様々な行動については、特に目新しい事実などはありませんが、あの時、村上氏はこういうことを考えていたのか、ということが。

当時、メディアで切り取られて報道された村上氏の表情や断片的な言葉とは、ずいぶんと受ける印象が異なりました。

村上氏は、とても「真摯」な人物であるな、と。



経営者は、株主から委任を受け、投資家から託された資金を最大限、効率的に活用して企業価値を高めるべく行動するべきだ。

相互保身のための持合株式などは許されない。

有望な投資計画がないなら、余剰現金は配当や自社株買いで株主へ還元すべきだ。


村上氏の提言は、今にして思えば当たり前のことです。



村上氏は、投資家として経営者に面談し、上記のような経営改革を提言します。

しかし、理解してもらえず、話が通じません。

そうなるとキツイ言い方をしたり、途中で席を蹴って立ち去ってしまったりを繰り返してしまいます。

そういう断片がメディアに切り取られてバッシングの材料にされたのでしょう。

既存の経営者には拒否され、マスメディアに先導された一般社会からは叩かれる。

最後は、裁判官にまでに「金儲けはけしからん」と批判されてしまうことに。

「正しいこと」が伝わらないもどかしい人生であったのかもしれません。


しかし、村上氏の主張は、

2014年に公表されたROE8%以上を目指すべきという伊藤レポート、

投資家のためのスチュワードシップ・コード、

企業のためのコーポレートガバナンス・コードでほぼ企業社会全体への要請として常識化してきたようにも思われます。

村上氏は、登場が、早過ぎたのでしょう。

それでも、村上氏はなんとか日本社会が良くなって欲しいという思いから、自分の信ずることに従い投資活動を続けています。

その主張に、今でも賛否はあるかもしれませんが、メディアの断片ではなく、本人の言葉をぜひお読みいただきたいと思います。

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