仕事を進めるのは人間関係?
出勤すると、特に仕事をしているわけではなく、電話していたかと思うとその相手は上司や同僚で、内容は次の飲み会やゴルフの日程調整。
飲み会やゴルフではひたすら人脈の構築や、社内での人間関係の把握に使われている様子。
ぜんぜん実務をしないのに、気が付くと次の異動では出世している。
そんな人が組織にいないでしょうか。
実務はさっぱりなので、細かい事務や顧客折衝は部下に丸投げ。
もちろん、完全にサボっているわけではなく、何かあるとその人脈を生かして問題を解決をしていたりも。
高度な技術や専門知識が必要とされず、人間と人間の繋がりだけで仕事が進められるような時代であれば、とにかく組織内の内輪の論理に精通していかに根回しすることが重要でした。
ややこしい実務作業は賤しい身分の部下職員がやることで、管理者の役割はひたすら人間関係。
こんな人も組織には必要なのかもしれません。
そして人間関係の機微を見極めて役員レベルまで出世・・部下のご説明も理解できないが、なんとなく勢いと雰囲気で経営していたら・・
経済成長の時代はもう過ぎ去って久しいのですが、こんな人物は書物の中だけでは無く、身近にもいるのかも。
あなたの組織では、どうでしょうか。
新しいことを学ぶことを止めてしまう壁の存在について。
「自分は出来る人間だ、もはや学ぶことはない」と思った日。
なぜ、学ぶことをやめてしまうのでしょうか。
そこに壁があったのかもしれません。
私のいる業界も日々、変化し続けております。
半年も学ぶことを止めれば、たちまち過去の人。
どれだけ年齢を重ねていっても新しいことを学ぶ気持ち、自分の知らないことを知っている方を師として学ぶ気持ちがあれば、仕事をする能力は成長していけることと思います。
周りを見ていると、この人はどのくらい前に学ぶことを止めて惰性だけで仕事をしているのか、わかる時があります。
規制の変化、税制改正、システムの入れ替えについての知識が欠落。
ある時点から先の知識が欠落しており、昔の考えを押し通そうとする。
そういう人はそれなりの処遇しか得られませんが、クビになるわけではない。
若い人に悪影響・・こんな人でも仕事を続けられている。
30代半ばで壁にあたってしまう人もいれば、50を過ぎても新しく学んでいる人もおります。
それぞれの壁は、どのあたりにあるのでしょうか。
ひょっとしたら、壁を作っているのは自分自身なのかもしれません。
「もう、いいや。」
その声に流されないようにしたいと考えております。
リーダーは、自ら信じているビジョンを語るべきだが・・
本日のお題はこちら。
- 作者: 藤沢久美
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/02/08
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
タイトルの「何もしない」というのは本当に何もしないというのではなく、細かな指示命令をせず、リーダーは自らの言葉で自らのビジョンを語ることを仕事とせよという主題です*1。
リーダーのビジョンに基づき自ら考え行動できるメンバーが仕事の成否を左右する時代になった
決められたことを繰り返せば良かった時代とは異なり、今日の環境は変化が激しいので、細かな指示をするのではなく、事業がどんなことを目指しているのか、何を社会に提供しているのを語り、それに沿ってメンバーが自律的に動けるかどうか。
このようなことを成し遂げられるビジョン型リーダーシップが求められている・・
理念としては正しく、さらにその事業が社会的に望ましいものである限りはこの方法が良いものと思われます。
しかし、営利事業はきれいなことばかりではなく、あまり褒められたものではない事業も多くあります*2。
あるいは、リーダーの語るそのビジョンに共感できないこともあるかもしれません。
そのような仕事ではあっても、まだまだ転職もなかなか容易ではないわが国の労働環境にあっては、疑問を持ちつつも日々の仕事をこなしているのかもしれません。
まして、誰もがやりがいや社会貢献を求めて仕事をしているわけではない。
そのような現実を見るに、ビジョン型リーダーシップが望ましく、それに賛同できない者は去れ、というのは非現実的ではないかと。
そして、多くの企業経営者は掲げるビジョンと、企業の現場は掛け離れております。
本書を読みまして、理想としては美しい。そんな話ではないかと感じた次第です。
こちらの過去エントリーもどうぞ。
「その仕事すらできない」という残酷な現実への直面について。
組織のなかに正社員、嘱託職員、派遣社員、定年再雇用者などいろいろな職制の人が入り混じるのはどこでも普通のことになっていることと思います。
たまに、嘱託職員や派遣社員から正社員に登用されることもありますが、その職制は、身分のように固定性が強いもので、正社員はずっと正社員のままというのが通常。
ところが、定年制度がありますので正社員も年齢を重ねると職制を異動します。
再雇用されると、身分が嘱託雇用で1年更新などになりますからね*1。
今は法令で60歳を超えても希望する方は雇用延長が義務付けられていますが、残る方は6~7割くらいでしょうか。
再雇用された嘱託職員は、もう正社員でなくなり、管理職でもありません。
ところが、いつまでも「この仕事は俺しかできない!」と仕事を抱え込み、若手の意見を完全無視する困った方も。
思うに、「この仕事は俺しかできない」と思いこんでいる方は、
「その仕事しかできない」ので後生大事に仕事にしがみつくのでしょう。
さらに、「その仕事すらできない」という残酷な現実を突きつけられる。
若手には迷惑者扱いされ、ますます意固地になる。
仕事は、人生のすべてではありません。
その仕事ができなくなったからといって人格を否定されるわけでは無いはず・・
仕事ができなくなったら、身を引いて笑っていればいいのです。
今は、そう思っております。
先輩が部下になったら ―「定年65歳時代」のチームマネジメント
- 作者: 門脇竜一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
*1:その前に、役職定年制があって、ある一定の年齢になりますと管理職から外れることもあります
業務改善と抵抗する人々の心理について。
面白い記事を見かけましたので、私も便乗して少々。
megamouth.hateblo.jp
黙っていても仕事はどんどん増えていきますし状況は変化しますから、既存業務の改善と効率化を継続的にしていかないと、仕事が山積みになって詰んでしまうことになります。
偉い人( )もそれをわかっていますし、昨今、労働時間管理が厳しいので残業もやたらとするわけにはいかず、経営層からは「業務を効率化しろ!」という声がどんどん飛んでくることに。
実際には、偉い人( )は、細かい現場の業務の細部は分かりませんので、改善は最前線の中間管理職が担うことに。
現場スタッフたちは、表面では、総論としては業務改善には賛成します。
なんといっても、経営層からの直接的に改善しろって命令が来ているわけですから。
しかし、各論に入りまして・・1枚1枚の紙の資料からエクセルに作業で転記する、同じ作業を「確認のため」に重複して行っているなどの非効率を指摘し、これを改善しようとすると・・
「毎日、手作業をしているからこそ数字を把握できる。自動化したら、理解できなくなる」
「バックアップファイルを持たないと、数式が壊れたら直せなくなる」
などなど、現状の作業方法を維持するためにいろいろと言い訳を並べて抵抗してくることに。
何よりも、抵抗するスタッフがいちばん恐れているのが、
今までは心地良い思考停止の中の繁忙を極めていたのに・・
それを効率化の名の下に取り上げられてしまい、
組織から不要な人間としてはじき出されてしまうことや、
もっと考えて仕事をしなければならなくなること
ではないかと。
そして、偉い人( )は、自分自身はいい子でいたいので、業務改善はして欲しいけど、現場スタッフの心配にも配慮しろという中途半端なスタンス。
それもスタッフたちは薄々感じ取っており、抜本的なことには着手しようとしないことにも。
これでは、結局、現場の中間管理職が嫌われ役になってしまうことになりますね。
最初から、現場での業務改善は限界がありまして、経営層が覚悟を持って取り組まないと抜本的なことはできないし、間に挟まっている中間管理職だけが疲弊するという結果が繰り返されてきたようにも思われます。
さて、業務改善に取り組んでいないという組織はどこにもないでしょう。
あなたの組織では、どんなことが起きているでしょうか。
「言っていること」と「やっていること」の乖離について。
「表面で唱えているスローガン、お題目」と「実際の行動・行為」がかけ離れていれば、誰もその人のことを信用しなくなります。
営利企業においても、会社のホームページに「地域社会に貢献、お客さま第一」「人材を大切にする経営」などの美しい社是・社訓が掲げられていることが多いかと。
しかし、実際にやっていることは・・
地域に貢献、お客さま第一→顧客を錯覚させるような広告で手数料を巻き上げるような略奪商法
人材を大切にする経営→パワハラks上司跋扈・教育研修皆無で放置
などということがまかり通っていることが多く見られるかと。
永くその会社にいる人は、「世の中きれいごとだけじゃない、そんなものだ」とあきらめているかもしれません。
でも、若手はそんな社内の建て前と実態の大きな乖離を感じ取り、早々と組織に見限って辞めて行くことに。
きれいなイメージTVコマーシャルを流している隣の有名大企業も、一皮むけば人材の流出に悩んでいるかもしれません。
若手労働力の奪い合いが始まっておりますので、こんなことを続けて行けば、もう組織が立ち行かなくなります。
トップの素晴らしい理念が浸透していないと中間管理職を悪者にしたりしても、得てして、中間もトップの振舞いを真似しているだけかもしれません。
我慢が効かない若手が悪いって責任転嫁していれば、もう詰みが見えてしまいます。
さて、あなたの属する組織の言っていることとやっていることは合っているのか。
そして、合っていないなら、なにか対策を講じているのでしょうか。
それにより、組織の未来が少し見えるかもしれません。
「この仕事はあの人しかできない」という誤解と、その前に。
どこの組織でも、仕事のノウハウを自分だけで抱え込んでブラックボックス化している方はいるのではないかと思われます。
「この仕事はあの人しかできない」という評価を得て、その職位に留まり続ける。
こういう属人化が極まってしまうと、もう人事異動はできません。
ノウハウを開示しないものですから、引継もできない。
その人が、本当に世の中の変化のスピードの速さを理解して、知識や技能をアップデートしているならまだマシなのですが、たいていは10年以上前に経験だけで覚えたことにいつまでも執着し、やり方も変えようとしない。
「この仕事はあの人しかできない」ではなく、「あの人はこの仕事しかできない」というのが事実では無いかと。
ごく普通にパソコンを使って行う程度の仕事で、「あの人しかできない」というのは誤解であることが多いと思われます。
さて、問題は、誰が「この仕事しかできないんだね」という事実を告げて、組織のためにその人に退場願うという任務を果たすかです。
どこの会社でも若手が育たないなどという嘆きをしているそうですが・・
若手の育成の前に、仕事の抱え込みをしているベテランへの対処も、考えるべき時ではないでしょうか。
若手社員が育たない。 ――「ゆとり世代」以降の人材育成論 (ちくま新書)
- 作者: 豊田義博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/07/03
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る