不動産投資に失敗しても、やり直せる手段を選べる社会に。
本日のお題はこちら。
- 作者: 藤田 知也
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2019/05/14
- メディア: Kindle版
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日本経済自体の地盤沈下によって年収UP自体が望めないこと、
年金など社会保障制度に対する不信・不安、
超金融緩和環境による銀行の貸出競争など。
ローンを借りて不動産投資を行う方が増えていたようです。
しかし、最初から採算が見込めない自転車操業状態だったかぼちゃシェアハウスの問題が明らかになり、合わせてスルガ銀行などの不正融資が発覚して多くの不動産投資家が家賃収入ではローンを返せなくなる事態に追い込まれている、と報道されております。
本書は、悪質な不動産業者や金融機関のモラルのなさを厳しく批判し、その実態に警鐘を鳴らしております。
悪いのは不動産業者やそれに協力して不正融資までやる銀行であり、投資家は善意で騙されているだけだ、というスタンスのように書かれていたように思います。
確かに、百戦錬磨の不動産業者や、借り手を食い物としか見ていない銀行にとって騙されてしまう投資家は、被害者であるという一面もあるのでしょう。
しかし、被害者は自分たちは騙されただけなので、破産などの法的手続きはしたくないという言い分をしているのには違和感を覚えました。
破産という手続きは、支払い不能になった場合にある財産を債権者に公平に分配してそれで「終わり」にするだけであり、破産者を道徳的に非難するものでもなんでもないはずなのですが。
破産という「恥ずべき事態」には陥りたくない。
破産は「穢れ」であるかのようにとらえているのでしょうか。
法的手続き自体は価値中立です。
失敗してしまったら、誰もが利用して再出発できる公平な制度です。
現代の日本は、古代のように債務を返済できなくなったら奴隷として一生を拘束されてしまうような社会ではありません。
やり直す手段はあらかじめ用意されているのですから、弁護士に依頼して、また再出発すればいいのではないでしょうか*1。