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誰に転嫁する?

消費税増税に反対する方々のロジックとして、次のような論理展開を聞きます。
「中小企業者は、価格競争力が無いので税率引き上げ分を転嫁できない。」
「社会的弱者は、値上げされた商品を購入せざるを得ないので、生活が苦しくなる。」

最初のと、二番目のは矛盾していませんか?
「社会的弱者」は、中小企業からは買い物をしないのでしょうか。

また、「食料品を非課税に!」という主張も見かけます。

消費税も法人税も、納税義務者は企業です(消費税は、個人事業主も含みます。)
消費税は「課税売上税額−仕入税額控除」を納付しなければならないのですが、控除できるのは「課税売上に対応する部分」のみです。
もし、食料品を非課税にすると、その分について確かに消費者は店頭で払わなくてもよくなります。
しかし、事業者は、仕入税額控除ができないので、その負担を消費者から付け替えられてしまう結果になります。

さて、事業者はどういう行動を取ろうとするでしょうか。
価格競争力がある事業者なら、付け替えられた消費税を取り戻すために商品を値上げするでしょう。
また、従業員の給与を増税分引き下げるかもしれません。*1
あるいは、仕入先から買い叩いて値引きを要求するかもしれません。*2
どこにも付け替えできない場合は、利益の減少=株主の犠牲です。*3

このように、一見、耳触りのいい「食料品を非課税に!」という主張は、「誰かに転嫁」されてしまいます。

年金暮らしで給与所得も無いし、株式市場もどうでもいい!という方を除き、「非課税」の副作用を受けてしまうことになります。
税金は必ず、経済主体の行動を歪めてしまうと聞きます。
それを最小限に留める=税制の中立を保持するために、野放図な「非課税」拡大は行うべきではありません。

次回は、複数税率について論じてみましょう。

*1:従業員は、店頭で食料品を購入する消費者でもあります。

*2:値引きを強いられる仕入先は、立場の弱い中小企業者かもしれません。

*3:利益が下がると株価が下落。その株式を組み込んでいる年金などの運用資産が目減りするかも

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