アリの社会を見て、人間社会を顧みてみると・・
本日のお題はこちら。
- 作者: 長谷川英祐
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/10/25
- メディア: Kindle版
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かなりの部分の生き物は産み落とされたら親に世話をしてもらえるわけではなく、たった一人(一匹・一頭・・)で生きていくそうです。
ただし、アリやハチのように群れを作り、社会(=複数の独立した個体が相互作用する集団)を形成して生きている生物もおります。
働きアリの社会を観察すると、次のような現象が観察されます。
働きアリは若いうちは巣の中で幼虫や卵の世話、年をとると巣の外でエサ集めや防衛などの仕事をするようになる
これは、巣の外の危険な仕事を残存余命の短い高齢個体に振り向けることで、投資を有効に回収しようとしている(効率化)。
もちろん、本書は人間社会はこんなに「効率的」ではないことを強調しております。
著者は、短期的な効率一辺倒(に見える)現代の日本社会のあり方に疑問を投げかけております。
あくまで著者は生物学者であり、その人間社会の考察に全面的に賛同できるものばかりではありません。
しかし、人間も一種の生物であり、アリだけじゃなく様々な生き物の観察をとおして「人間社会のおかしさ」を見る視点はなかなか面白いな、と感じました。
本書だけでなく、他にも生物学の専門家ではない一般層に向けられたものがいくつか出ておりますので、続けて読んでみたく思います。
*1:なお、働くというってもすべての働きアリが常時働いているわけではないことは、同じ著者の「働かないアリに意義がある」をご参照ください。