すらすら日記。

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「経済全般の事を理解する」ための3つの大切なことについて。

「お題箱」経由でご質問が来ましたので、こちらでお答えしてみます。

お題 こんばんは。経済全般の事を理解する...

経済の事を理解したいと思って、何か本を読んでみようとアマゾンを検索してみます。
そうすると、世界経済全般を読み解くと称する、立派な髭を蓄えて堂々と腕組みをした経済評論家や、紫色の髪を持つ眼光鋭い大学教授が表紙を飾る本が目につくことと思いますが・・・最初にそういう本を読んでしまうと、トンデモの沼にハマりこむことに。

トンデモに落ち込まなくても、巷には人々を説得しようとする経済に関する「もっともらしい話」が溢れております。
経済に無縁で生きていくことはできませんから、「もっともらしい話」についてその適否を考え、「経済全般の事を理解する」ために、私としては3つの大切なことがあると思います。

こちらです。

①経済学の基礎的な考え方を理解する。
②概略データは把握しておき、詳細データは信頼できる一次情報源を確保しておく。
③何か一つでも自分の専門分野を持つ。

以下、詳しくお話いたします。

①経済学の基礎的な考え方を理解する。
「Aをすれば、Bという効果があるはずだ!だからAをやろう」という話を聞いた時に、その適否を考えるためには、経済学の基礎的な考え方を理解しておかなければなりません。
現実の経済社会はおそろしく複雑で、ある経済行動が狙い通りの結果をもたらしてくれるというのはなかなか難しいものです。
経済学は、複雑な現実そのものではありませんが、その一面をモデル化・理論化したものです。
理論は現実とは異なるといっても、最近は実証研究も盛んで、トンデモ理論は淘汰されていきますので、まずは通説となっている経済学を理解しましょう。

こちらをおすすめします。

価格理論から、市場の失敗、情報の経済学、行動経済学ゲーム理論まで幅広く経済学の第一歩を学ぶことができると思います。

②概略データは把握しておき、詳細データは信頼できる一次情報源を確保しておく。
 「もっともらしい話」には何か数字が根拠として書かれていることが多いものです。
 その数字、本当に信頼できるでしょうか。

 経済に関する数字といえば、GDPから始まり、一般会計に占める社会保障費の割合、所得税法人税、消費税、相続税などそれぞれの税収額、年間の国民医療費、自動車生産台数や輸出額、失業率の定義と推移、奨学金(貸与)の金利と市場金利の関係・・などなど、思いつくままに挙げてみましたが、これらについて、実際の数字とは異なる感覚的なイメージの数字だけで語っている議論が数多くみられます。

 自分の関心がる経済指標や統計データについては概数データを把握したうえで、どこのwebサイトに行けば信頼できる一次情報を確認できるのか、おさえておきましょう。

 そうすれば、「なんかこの数字、怪しいな・・」と感じたとき、根拠を確認してからその適否・是非を判断できることと思います*1
 経済指標の読み方と情報ソースの調べ方については、こちらがコンパクトにまとまっております。

第6版 投資家のための金融マーケット予測ハンドブック

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 各国のデータについては、こちらを。

データブック オブ・ザ・ワールド 2017: 世界各国要覧と最新統計

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③何か一つでも自分の専門分野を持つ。
 経済というものは、自分の外側に独立して存在するものではありません。自分自身も、その経済というものに参加しておりその一部を構成しているわけです。

営利企業に勤務していたり、営利事業を自営したりすることだけが経済への参加ではありません。
学生、福祉や医療など非営利企業勤務や公務員であっても、社会へ財・サービスを提供したり、お金を使って消費したりしているのであれば、自分も大きな経済の一部になっているわけです。

そのなかで、自分が仕事にしていることや勉強をしていることが、大きな経済でどんな位置づけにあり、どのような社会とのかかわりをもっているのか、詳しく知ることで、「経済全般の事を理解する」ことの手がかりと礎になります。
専門分野というものも孤立して存在しているわけではありません。そこに隣接する分野とのかかわりも理解し、芋蔓式にいろいろな事柄について知ることで、経済全般へ広げていくことができるでしょう*2

少々長くなりましたが、こちらでお題への回答といたします。


*1:データを「読む」ためにはやはり経済学の知識が必要です。わからないことがあれば、経済学のテキストをめくってみましょう。どのテキストが良いかについては長くなりますので、また別の記事にいたします。

*2:なお、専門分野を持てば、残念ながら少なくない頻度で、日本経済新聞をはじめ、経済専門誌といわれる新聞や雑誌にも事実誤認や誤った理解にもとづいた文章が書いてあるが多いのに気づくことができます。これも専門分野を持つべき理由です。

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