簿記検定で身につけられる「会計的センス」の基礎について。
先日行われた日商簿記検定2級で、最近、試験範囲となった連結会計について出題がなされました。
連結会計の出題自体は試験範囲として示されているので、出題自体はまあ当然なのですが、その問題というのがいわゆる「悪問」で、とても2級レベルの受験生が解けるようなものではなく、専門学校講師たちの怒りを巻き起こすことに。
「こんなの、どこの商業高校でも簿記専門学校でも2級レベルとしては教えていない!」と。
さらに悪いことに、問題文のなかに会計年度が記載されていたのですが、これも注記・補記はあったもののあまり一般的な表記ではなく、さらに受験生が混乱。
これに対しては日本商工会議所が問い合わせに対して回答したものの、なんだか「間違ってない!」と強弁するようにもとらえられる言い方で、先の悪問と合わせてプチ炎上状態になっておりました。
簿記検定、高校生から社会人まで就職・会計実務に役立つ資格として広く受験者がおり、影響が大きい問題だな、とも思う次第であります。
さて、簿記検定、会計実務に役立つ、財務諸表が読めるようになるとして広く推められております。
でも、一方では、会計ソフトの発達により、手作業で仕訳を起こすような場面はあまり実務ではほとんどなくなっているのも事実ですね。
簿記検定、3級から始まりまして、2級、1級と進んでいくのですが、今話題の2級は連結会計や税効果まで入ってきて昔から比べるとかなり難しい試験になっているようです。
その難しい試験にせっかく合格できても、実務では会計ソフトを使用しますから、だんだん使わなくなって忘れてしまうというのも。
また、上場企業経理担当者をやるには、とても2級レベルでは対応できないということもあり、試験が難化している割にどこをターゲットにしているかわからないという声も聞かれます。
しかし、私が思うに、日商簿記検定は長い歴史がありそのカリキュラムは非常によく練られおります。
3級からしっかり順を追って学んで習得していけば、ちゃんと「会計的センス」の基礎を身につけられる良い試験ではないかと。
2級までとれば、会計ソフトに予めセットされていない事象が起きたときその「会計センス」で考えて判断していけるようになる。
経理担当者ではなくても、その会計的なセンスでさまざまな「会社の数字」を見ることができるようにもなります。
あとは、その身につけた基礎から自分の必要な会計知識(経理なのか、分析なのか、評価なのか)を発展させていけばいいのですから。
ただし、専門学校などが用意するテキストは非常に優れているだけに、そのテキストを丸暗記的に学習して習得してしまえば試験には合格できてしまう。
このやり方だと、先に述べた「会計的センス」は身につかず、試験終了とともに消えてしまうことも。
最近のテキスト自体はとても良くできていますから、暗記や過去問のパターン訓練ではなくてしっかりと「理解」して2級までとれば、一生モノの「会計的センス」の基礎が得られること思います。
日商簿記検定の当局?は今般の悪問(出題ミス?)を公には認めないでしょう。
でも、くじけずにまたチャレンジしてほしいなあ、と私としては思います。
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私はいきなり2級テキストを買ってしまい、まったく理解できずに遠回りしてしまいました。
見栄を張らず、焦らず。ゆっくり学んでいきましょう。